山と日本人ー日本文化の根底を探る

2020年06月20日(土)
2限(10:45〜12:15)

開催回: 4回
受講料: 15,000円(税込)
学 期 春学期後半 講座番号 20108
教 室 開講中止
形 式 レクチャー形式
キーワード 専攻は文化人類学、民俗学、宗教学。キーワードは、文化、民族、宗教、地域研究、少数民族、祭祀芸能、民俗宗教、山岳信仰、修験道、世界遺産。1970年代から、日本各地だけでなく、東アジア(中国の少数民族)・南アジア(スリランカと南インド)を広く歩いてフィールドワークに従事してきた。異文化理解と日本文化の研究を二本の柱にしていることが特徴である。
残席数 ○  ※〇:26%以上残席あり △:25%以下残席あり ×:満席
備 考 ・1回(90分)、全4回の講座です。

講座概要

日本列島で生活する人々の文化を育んできたのは変化に富む山であり、思想や哲学、祭りや芸能、演劇や音楽、美術や工芸などの多彩な展開に大きな役割を果たしてきた。その中核にあったのが山を崇拝対象とする山岳信仰で、山に対して畏敬の念を抱き、神聖視して崇拝し儀礼を執行する信仰形態をいう。山を祀り、登拝して祈願し、舞や踊りを奉納した。山を祈願の対象とし、山との共感を通じて、日々の生活を見つめ直し、新たな生き方を発見した。山は蘇りの場として機能してきたのである。 日本の国土の4分の3は山や丘陵地であるという。日本の山は里からほどよい距離にあったことで多様な山の信仰を育み、山は人々の日々の暮らしの中に溶け込んでいた。日本の山は個性豊かで強い印象を残す。しかし、山は時には土砂崩れや大洪水を引き起こし、噴火するなど災いを齎す。山は祈りと畏れの対象であった。 山岳信仰は近代に大きく変質した。明治政府の神仏分離政策で神仏混淆の山岳信仰は根底から覆ったのである。平成30(2018)年は明治維新150年で同時に神仏分離150年でもあったが、多くの人にはその認識は薄い。日本人の精神文化の根底を支えてきた山岳信仰を通して、日本人にとって山とは何かを考え、近代の在り方を問い直す必要があろう。 今回の講義では、山岳信仰の概説に引き続き、日本の代表的な霊山である出羽三山、富士山、木曽御嶽山を取り上げて、歴史・民俗・文学・芸能など多面的な観点から検討する。近年、日本の山は世界遺産や日本遺産に登録され、「山の日」が国民の祝日となり、「伝統文化」として観光化・資源化に進むなど、新しい動きが生まれつつある。山岳信仰の現状と今後の行方を展望して、「山と日本人」の在り方を再考する。

修了条件

全講座回数の4分の3以上の出席および担当教員による判定

講師紹介
慶應義塾大学 名誉教授 鈴木 正崇
日本山岳修験学会会長。日本関係の主要著書に、『神と仏の民俗』(吉川弘文館,2001)、『女人禁制』(吉川弘文館,2002)、『祭祀と空間のコスモロジー』(春秋社,2004)、『山岳信仰』(中央公論新社,2015)、『熊野と神楽』(平凡社,2018)、『女人禁制の人類学』(2020年,近刊)。受賞歴は、1997年、『スリランカの宗教と社会』で義塾賞、2014年、『ミャオ族の歴史と文化の動態』で木村重信民族藝術学会賞(民族藝術学会)、2016年、「山岳信仰と修験道の研究」で秩父宮記念山岳賞(日本山岳会)。印度学仏教学会理事。民俗芸能学会理事。日本文化人類学会評議員。日本宗教学会評議員等を務める。
スケジュール
日 時 内 容
2020年06月20日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:日本の山岳信仰と近代の変容
説明:山岳信仰の歴史を、民俗・思想・芸能への展開、明治の神仏分離による大転換、現代における近代と伝統の相克の観点から考察する。
2020年06月27日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:出羽三山の歴史と修験道の展開
説明:山岳信仰を基盤に死と再生を目指す独自の修行形態を体系化した修験(山伏)について、羽黒山・月山・湯殿山を中心に考える。
2020年07月04日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:富士山の信仰と民衆、美と芸術
説明:富士山の信仰の歴史を探り、山岳修行から、民衆を担い手とする登拝へと変貌してきた状況を検討し、遺産化に揺れる現状を探る。
2020年07月11日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:木曽御嶽山の登拝講の変容と現代
説明:登拝講の信仰登山が盛んだった木曽御嶽山は、2014年の噴火でイメージを変貌した。転換点にある山岳信仰の現状を見つめ直す。

受講のお申込み
開催回:4回 受講料:15,000円(税込)