人生の終わりをどう生きるかー取材ノートから(その1)

2020年05月16日(土)
4限(14:45〜16:15)

開催回: 4回
受講料: 15,000円(税込)
学 期 春学期前半 講座番号 20104
教 室 開講中止
形 式 レクチャー形式
キーワード 「生命倫理学」「医学・医療報道」「ジャーナリズム論」「社会学」。「人の死の在り方」にアプローチします。人は必ず死ぬ。しかしそれが分かっていながら、人は自分の死については考えようとはしません。きっかけが必要だからです。人は肉親や親友の死に接すると、いろいろ考えます。医学・医療の問題を取材する度に死について考えさせられてきましたが、そんな私の取材経験をきっかけ≠ニして提供します。
残席数 ○  ※〇:26%以上残席あり △:25%以下残席あり ×:満席
備 考 昨年の春学期に続いて2度目の登板です。講義はどこから参加しても分かるように、1回1回独立した形で進めていきます。「その1(前半4回)」と「その2(後半4回)」の計8回を通して受講してくだされば、より理解が深まるはずです。その日の講義は前半を私が話し、後半を受講者の皆様方との論議の場に充てます。

講座概要

終末期医療における延命治療の是非、安楽死と尊厳死の違い、尊厳死法が制定されない事情、脳死は人の死か否か、なぜ臓器提供は増えないのか、どうして医療事故は繰り返すのか、感染症で命を奪われる健康弱者の問題、新型コロナウイルスをはじめとする新興感染症対策の在り方など医学・医療の問題は尽きません。そんな問題にどう対処していけばいいのでしょうか。問題の根底には「人の死」が介在し、「人の死の在り方」が大きく問われています。死を見つめることはどう生きるかという前向きな思考につながります。35年に及ぶ新聞記者の仕事のなかで、事件・事故から政治・行政まで様々な問題を取材してきましたが、講義では私がとくに精力的に取り組んできた医学・医療の問題をベースに「人の死」について考えていきます。まず取材を振り返りながら私の考えを語ります。その後に皆さま方の意見を伺って議論します。たとえば延命治療の是非。人工呼吸器の装着やお腹に穴を開けて栄養剤を胃に送る胃ろう、血液から老廃物を取り除く人工透析などの延命治療を死の迫る終末期において中止し、人間としての尊厳を保ちながら自然な死を迎えることを「尊厳死」と呼んでいます。日本尊厳死協会が尊厳死の法制化を求めていますが、その一方で「終末期は多様で患者やその状況によって違う。法律で一律に延命を中止することには無理がある。議論を深めるべきだ」という意見があります。私も議論を深める必要があると考えています。最近、延命中止の方に振り子が振れ過ぎているように思えるからです。背景に厚生労働省が「人生会議」と呼んで推奨する「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」があります。このACPを過度に推し進め、終末期医療の在り方を見誤ると、延命治療自体が悪者扱いされる危険性があります。結局は私たち自身が元気なうちに終末期をどう生きるのかをしっかり考えておくことが重要です。講義ではこんな論議を進めていきます。

修了条件

講師の私が出席回数や議論への参加の様子などを参考に判定します。

講師紹介
日本医学ジャーナリスト協会理事 木村 良一
1956年10月18日生まれ。慶大卒。慶大新聞研究所修了。ジャーナリスト・作家。日本医学ジャーナリスト協会理事・幹事。日本臓器移植ネットワーク倫理委員会委員。日本記者クラブ会員。三田文学会会員。元慶大非常勤講師。元産経新聞論説委員・編集委員。リクルート事件、金丸脱税事件、脳死移植問題、医療事故などを取材。論説委員として社説やコラムの執筆を10年間担当した後、2018年10月に産経新聞社を退社した。ファルマシア医学記事賞とファイザー医学記事賞を受賞。著書に「移植医療を築いた二人の男」(産経新聞社)、「臓器漂流」(ポプラ社)、「パンデミック・フルー襲来」(扶桑社新書)などがある。
スケジュール
日 時 内 容
2020年05月16日(土)4限(14:45〜16:15) 主題:脳死は人の死か否か。
説明:映画「人魚の眠る家」(主演・篠原涼子)を観て改めて考えた。脳死は医学的に死でも身近な家族にとっては簡単には割り切れない。
2020年05月23日(土)4限(14:45〜16:15) 主題:続・脳死は人の死か否か。
説明:23年前、大学病院の救急医療現場で脳死判定を取材した。当時は臓器移植法の成立前で、脳死移植は法的に認められていなかった。
2020年05月30日(土)4限(14:45〜16:15) 主題:延命治療を受けるのか、それとも拒否するのか。
説明:死が訪れるのを待つだけという終末期の状態に陥ったとき、人工呼吸、人工透析、胃ろう、輸液、薬物投与などを受けるかどうか。
2020年06月06日(土)4限(14:45〜16:15) 主題:続・延命治療を受けるのか、それとも拒否するのか。
説明:一昨年8月、公立福生病院で慢性腎不全患者が人工透析を中止して死亡した。病院の判断は正しいのか、間違っているのか。

受講のお申込み
開催回:4回 受講料:15,000円(税込)