人生の終わりをどう生きるかー取材ノートから(その2)

2020年06月20日(土)
2限(10:45〜12:15)

開催回: 4回
受講料: 15,000円(税込)
学 期 春学期後半 講座番号 20107
教 室 開講中止
形 式 レクチャー形式
キーワード 「生命倫理学」「医学・医療報道」「ジャーナリズム論」「社会学」。「人の死の在り方」にアプローチします。人は必ず死ぬ。しかしそれが分かっていながら、人は自分の死については考えようとはしません。きっかけが必要だからです。人は肉親や親友の死に接すると、いろいろ考えます。医学・医療の問題を取材する度に死について考えさせられてきましたが、そんな私の取材経験をきっかけ≠ニして提供します。
残席数 ○  ※〇:26%以上残席あり △:25%以下残席あり ×:満席
備 考 昨年の春学期に続いて2度目の登板です。講義はどこから参加しても分かるように、1回1回独立した形で進めていきます。「その1(前半4回)」と「その2(後半4回)」の計8回を通して受講してくだされば、より理解が深まるはずです。その日の講義は前半を私が話し、後半を受講者の皆様方との論議の場に充てます。

講座概要

その1の講座概要で述べたように後半の講義でも、取材を振り返りながら「人の死」について私の考えを語り、その後に論議していきます。たとえば一部の消防本部が実施し始めている「救命の中止」。これは119番で救急隊員が駆け付けても、家族が心臓と肺の機能を回復させる措置を断るケースが全国で増えている現状に対し、患者の心肺蘇生と病院への搬送の取り止めを可能にした新しい運用です。東京消防庁でも昨年12月16日からスタートしました。もちろん自宅で死ぬことを希望した終末期患者が対象で、家族と医師の了解を得るなど一定の条件下で実施されます。しかし肉親の死はそう簡単には割り切れません。だから「自宅で死にたい」と聞かされていても、気が動転して救急車を呼んでしまうのです。厚生労働省は死が避けられない人生の最終段階では患者の望む医療を進めるよう求めていますが、行政に言われる前に私たち自身が自らの生き方をしっかり考えておきたいものです。医療ミスや医療事故の検証も医学・医療の問題を考えるうえで欠かせません。2003年8月に都内のある大学病院が点滴用カテーテルの誤挿入を起こし、51歳の女性が脳死状態となり、2005年4月に死亡しました。女性のこの医療ミスから13年6カ月後の2017年2月、今度は別の都内の大学病院で72歳の男性が亡くなります。CT(コンピューター断層撮影)検査で肺がんが判明しながら主治医らが検査結果を確認しなかったことが原因で1年間も放置され、がんが進行してしまいました。カテーテルの挿入ミスで死亡した女性の夫でした。私は取材を通じて男性と親しくなり、見舞いにも行きました。「妻と同じ被害をなくしたい」と医療事故撲滅を叫びながら自分が医療ミスの犠牲になる。さぞかし無念だったと思います。「蘇生と搬送の中止」や「夫婦がともに犠牲になる医療ミス」について皆さま方はどう考えますか。講義の議論の中でぜひ聞かせてください。

修了条件

講師の私が出席回数や議論への参加の様子などを参考に判定します。

講師紹介
日本医学ジャーナリスト協会理事 木村 良一
1956年10月18日生まれ。慶大卒。慶大新聞研究所修了。ジャーナリスト・作家。日本医学ジャーナリスト協会理事・幹事。日本臓器移植ネットワーク倫理委員会委員。日本記者クラブ会員。三田文学会会員。元慶大非常勤講師。元産経新聞論説委員・編集委員。リクルート事件、金丸脱税事件、脳死移植問題、医療事故などを取材。論説委員として社説やコラムの執筆を10年間担当した後、2018年10月に産経新聞社を退社した。ファルマシア医学記事賞とファイザー医学記事賞を受賞。著書に「移植医療を築いた二人の男」(産経新聞社)、「臓器漂流」(ポプラ社)、「パンデミック・フルー襲来」(扶桑社新書)などがある。
スケジュール
日 時 内 容
2020年06月20日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:救急車が救命しなくなった?
説明:昨年12月から東京消防庁が「自宅で死にたい」という終末期患者の意思を尊重し、条件付きで心肺蘇生を中止する運用を開始した。
2020年06月27日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:なぜ医療ミスや医療事故は起きるのか。
説明:ある医大病院の医療ミスの背景には、根深い閉鎖的体質があった。しかもその病院の取材を進めると、次々と医療ミスが判明した。
2020年07月04日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:夫婦そろって医療ミスで死亡することがあっていいのか。
説明:2003年8月に妻がカテーテルの誤挿入で死亡、13年6カ月後には夫ががんの見落としで亡くなる。医療ミスは理不尽だ。
2020年07月11日(土)2限(10:45〜12:15) 主題:感染症が怖いワケ。
説明:感染が拡大すると、健康弱者が命を落とす。高齢者を狙う新型コロナウイルスから赤ちゃんにとっての大敵、風疹まで言及する。

受講のお申込み
開催回:4回 受講料:15,000円(税込)